長く会社に勤めていると、大した付き合いもない同僚にお金を貸すことがあるものです。
得てして、そんな相手の場合は催促してもお金を返してもらえず、腹の立つことが少なくありません。
昼飯代くらいであれば諦めもつきますが、数万円以上ともなるとそうはいきません。
そんな図々しい同僚には強い手段を採ることが最善の策になります。
まず手始めに、催促したという証拠を残す意味から内容証明郵便(配達証明付き)を借主に送付します。
書き方はネットで検索するとサンプルがあります。
便箋には1ヶ月程度の猶予を与えた返済期日を記し、指定期日までに支払わない場合は法的手続きに移行することを記載します。
それでも無視された場合は、裁判所に「支払督促」の申立をします(90万円までは簡易裁判所、それを超える額は地方裁判所)。
裁判所は申立を受理すると、借主に対して借金の支払いを命じる「支払督促」を発付します。
なお、支払督促は貸主の申立が法律上の手続きに則ってさえいれば良いため、貸借の事実を証明する必要はありません。
支払督促を受けた借主がその内容に不満があった場合は、2週間以内に「督促異議の申立」ができます。
なお、異議の申立期間が過ぎるとその日から30日以内に、「仮執行宣言付支払督促」の手続きをします。
2回目の督促には確定判決と同じ効力があるため、借主が2回目の督促に対しても異議の申立をしないと、貸主は「強制執行」が可能になります。
つまり、借主の財産を差し押さえることができます。
なお、借主が所定の期間内に異議の申立をすると支払督促は無効となり、通常の訴訟手続に移ります。
そして、裁判所は貸主の請求内容の適法性の審理を始めます。
訴訟になると、貸主はお金を貸したという事実を示す証拠や、返済に対する借主とのやり取り、催告の証明書などが必要になります。
正直なところ、裁判所から支払督促が発付されると、借主は法的な措置を恐れて返済してくるものです。
ただし、同僚との金銭の貸借では借用書などを作っていないケースがほとんどのため、悪意のある人間だと借金を認めないことが起こり得ます。
その場合はメールなどのやり取りで借金の存在を明らかにできない限り、裁判所が返済の請求を認めなくなる恐れがあります。
借金の事実を明白にできる『何か』が必要です。
お金を貸す場合は返済されない時のことを考えて、貸したということを明確にする書類なり、記録なりを残すことが重要です。
それができないならば、プレゼントしたものと覚悟を決めるしかなく、そうすれば腹の立つことも減ります。
ちなみに、支払督促の手続きは裁判所のホームページに載っていますし、手順は裁判所がその都度教えてくれるため、心配は要りません。
費用もごく少額で済みます。