物覚えが悪い、というのは必ずしも本人の努力不足だけではなく、生まれ持った能力にも起因します。
とはいえ、それも努力によってある程度補えることが事実ですし、できる人にはその苦労がわからないもの。
本記事は、時にうつ病にも発展する可能性があるその影響についてのまとめです。
まず、よほど記憶力に自信のある人でなければ、右も左もわからない状態から一気に説明されて、全てを覚えられる人はごく稀です。
一度言われただけで覚えられるとは限らないからこそ、何度も説明することで他の方の時間を奪わないよう、メモをとった方がいいのは学生でも社会人でも同じです。
場合によっては、日常生活でも習慣づけた方が良いでしょう。
メモを取らず「覚えていません」などと発言しては教えた人が不快に感じる可能性があり、それが複数回となれば寛容に受け止めてくれる人はほとんどいません。
しかしメモを取っていたとしても、いつでも確認できるとは限らないのが困りどころで、日本には学生であればテストの時にメモを見ることがほとんどの学校で許可されていませんし、仕事においても顧客の前で何度もメモを見ながらしどろもどろでは信用を失いかねません。
物覚えの悪さを補うためにメモが大変有効であることは変わりませんが、ある程度は記憶した上で理解しなければ良い成果を上げにくいのが現実です。
物事は一つのことで判断されるわけではなく、複数の事実や情報から導き出される答えがあります。
そこで厄介なのが「物覚えの悪さによる理解力のなさ」です。
例を挙げますと『Aさんは商品の性能を不満に思っていた』『商品は低温環境で壊れやすい』『今年は冷夏だった』のような情報を別々に持っていた時に、それぞれをはっきりと覚えられていないことで理解度の低さにつながり、情報を不適切に混ぜ合わせてしまい「Aさんは商品が壊れたことを不満に思っていた」と勘違いしてしまうことがあります。
情報の中でAさんは性能に不満があっただけで壊れたわけではありません。
このようなことはいちいちメモに取らず、頭の中だけで処理してしまうために物覚えの悪さが勘違いを生み、結果として理解力のなさにつながります。
これらの間違いは日常的に起こるため、コミュニケーションや仕事でミスをしたり、それを咎められることでストレスを受けることになるのですが、これは回数が重なると想像以上の負担があります。
このストレスとミスの重なりは自信喪失に繋がり、改善を試みようとしても「勘違いしないようにする」という漠然と意識するだけでは望む結果が出ずに自暴自棄となり、その結果状況はどんどん悪くなり、結果としてうつ病になってしまう人もいるのです。
これらの問題は、脳を鍛えることで多少の予防が可能です。
順番に表示される数字を覚えて答えたり、光るパネルの順番と位置を覚えて再現するなどの短期記憶トレーニングを積むことで、ワーキングメモリの強化から勘違いを防ぎ、情報を正確に記憶できることで長期記憶に発展にも繋がります。
一言に「物覚えが悪い」と言ってもその程度は十人十色で、知らず知らずのうちに大きなストレスを抱えるほどの影響が出ている人もいます。
それを自分の全体的な能力が低いと考え、改善に失敗するとどんどん落ち込みが加速してしまいますので、心当たりのある方はワーキングメモリを鍛える脳トレを習慣化することで、うつの予防ができるかもしれません。