なぜ猫を捨てる?野良猫ニャーちゃんとの出会いと別れ~里親が見つかるまで~

 




 

夏の終わりのある日、ゴミを捨てに行った私は、とても痩せ見るからに食事していない、首輪をつけた見かけない大人の猫を発見しました。

「栄養失調で死んでしまったら、探しているかもしれない飼い主が悲しむだろう」と思った私は、迷った挙句、コンビニエンスストアで買ってきた猫用のごはんをあげました。

とてもおなかが空き、がむしゃらに食べていた猫は、人懐っこくよく鳴いたので、私は「ニャーちゃん」と名づけました。

ペットを飼っていたことがあった私は、こんなに愛らしい猫がいなくなった飼い主が、さぞかし心配し悲しんでいる気持ちがわかりました。

そんな私は、「ニャーちゃん」の飼い主を探すことと、見つかるまでごはんをあげ面倒をみることを決めました。

 

役半年間ノラ猫を保護してみた

私が迷い猫の掲示板やサイトを見てみると、ほかの猫の情報はあっても、「ニャーちゃん」らしき猫を探している人の投稿はありませんでした。

迷子になった飼い猫を探している人が、こんなにいることを知った私は、「早く見つかってほしい」と願いました。

迷い猫を保護した人の掲示板やサイトを見つけるたびに、私は「ニャーちゃん」の情報を書き込みました。

私が住んでいる地域で、保護猫の活動している方に事情を話し、相談してみました。

すると、年配の飼い主であれば、ネットが使えない人が多く、チラシなどを近所のスーパーや、動物病院に貼ってもらうほうが、見つかる可能性が高いことがわかりました。

そこで私は、パソコンで作った迷い猫のチラシを、近所のスーパーや動物病院などに貼ってもらいました。

当時、ペット不可のアパートに住んでいた私は、飼い主を探すと同時に、外で「ニャーちゃん」にごはんをあげていました。

私以外の人からごはんをもらうようになった「ニャーちゃん」は、1カ月もすると当初とても痩せていた姿が嘘のような貫禄のある猫になっていました。

そんな中、ネットの迷い猫の書き込みや、チラシの効果が現れず、飼い主らしき人からの連絡が全くなかったため、保護猫の活動している方に再度相談しました。

飼い主が見つからないのは、1人で飼っていた年配の飼い主が亡くなってしまい、野良猫になったか、ペット不可の先に引っ越し、置き去りになった可能性があることがわかりました。

これほど人になついている猫が、野良猫になるのがかわいそうだった私は、何とも言えない悲しい気持ちになりました。
飼われていた猫が、これからやってくる厳しい寒さの冬を乗り越えられるかも心配でした。

飼い主を探すことを諦めた私は、新しく里親を探すことにしました。

里親を探すため、里親募集などのサイトに載せるには、家猫としてのしつけや、必要なワクチン接種、去勢手術をしなければなりませんでした。

そこで私は、里親が決まるまで「ニャーちゃん」を飼うことにしました。

初めて猫を飼う私は、保護猫の活動している方にケージを借りたり、飼い方を教わったりしながら、必要なワクチン接種や病気の検査などをしました。

保護した段階では大きな病気が見つからず順調でした。

ところが2週間ほど過ぎたころ、トイレに行ってもオシッコをしていなかったり、トイレの中で鳴いたりしていました。

心配になった私が病院に連れて行くと、オス猫がなりやすいうえ、夏が終わり、あまり水を飲まなくなることをキッカケに多く発症する、尿路結石になっていました。

生まれつき尿道が狭い「ニャーちゃん」は、尿路結石になると詰まりやすく悪化しやすいタイプでした。

そのため、尿路にカテーテルを挿入し、膀胱にたまっている尿を出す“導尿”の治療を、毎日のようにしました。

治療にとても時間がかかり、1カ月ほど過ぎると、治療費や療養食のフード費用などが重なり、金銭的に厳しくなってきました。

治療の終わりが見えず、保護したい気持ちがあっても、現実的に難しくなってきたことを保護猫の活動している方に相談しました。

すると、同じ活動仲間のカフェのオーナーが、お客さんに治療費の募金を呼びかけてくれました。

さらに、オーナーのはからいで、お店やホームページに「ニャーちゃん」の現状やいきさつを上手に書いてくれ、呼びかけた翌日から、次々に募金や療養食のフードが集まりました。

この結果に私はとても驚きました。

猫カフェから旅立った家猫たちの里親や、お客さんなど、多くの猫好きの方の「元気になった『ニャーちゃん』が、里親の元に旅立ってほしい」という思いが強かったのでしょう。

加えて、寄付を呼びかけてくださったオーナーの人柄のよさや、信頼も大きく影響したでしょう。

結局、3カ月にも及んだ治療の費用は、全て募金で賄えました。

精神的に疲れていたものの、みなさんの温かい思いに触れた私は、経済的にも精神的にも、とても支えてもらいました。

「元気になった『ニャーちゃん』が、里親の元に旅立ってほしい」という猫好きの方たちの思いに、とても感動しました。

「ニャーちゃん」の治療が終わると、募金してくださった方たちの思いに応えたかった私は、精力的に里親を探しました。

近所のスーパーや動物病院にチラシを貼ってもらったほか、ネットの里親募集への書き込みや、「ニャーちゃん」のかわいさが伝わるように、YouTubeの動画にも挙げました。

ネットの里親募集と動画の更新を同時に行い、できるだけ多くの方に見てもらう努力をしても、1~2カ月はあまり反応がありませんでした。

「このまま里親さんが見つからなかったらどうしよう」という不安に押しつぶされそうになっていた中、3カ月ほど過ぎたころ、連絡が来始めました。

そんな中、5~6人から連絡が来たため、どの方が最もふさわしいか、選べる状況になりました。

「ニャーちゃん」と一緒に最もふさわしい方と面談したあと、1週間ほどのトライアル期間中、里親候補の自宅で過ごしてもらいました。

里親候補の自宅で飼っている猫との相性や、里親候補の方や飼育環境に慣れるかどうかも、確認しました。

無事にトライアル期間を終えた「ニャーちゃん」が、里親の元に旅立つときがやってきました。

とても人懐っこくかわいい「ニャーちゃん」と出会い、半年以上一緒に過ごしました。

トライアルに預け、「ニャーちゃん」がいない自宅がとても寂しかった私は、泣いた夜もありました。

こんなに悲しい思いをするくらいなら、トライアルが成功しなかったら、「自分が飼おう」と決心していました。

しかし、問題なく無事にトライアルが終了し、最終的な確認と挨拶のため、里親の元に向かいました。

「ニャーちゃん」が問題なく馴染んでいた小さな子どもや猫と、友だちになっていました。

里親は、新しいケージを買ってくださったり、夜泣きが酷ければ一緒に眠ってくださったり、「ニャーちゃん」に対する愛情が感じられ、とても安心しました。

このお宅なら、「何不自由なく幸せに暮らしていける」と判断しました。

最後に、譲渡契約書などにお互いにサインしたあと、決まりごとなどを確認し、「ニャーちゃん」に最後のお別れをしました。

 

おわりに

私が最も気にしていたのは、「ニャーちゃん」が「飼い主から捨てられた」と思わないかということでした。

泣きながら「ニャーちゃん」を抱きしめた私は、捨てていないこと、里親を困らせないこと、また会いに来るから、幸せに暮らしてほしいことを伝えました。

お別れしたあと、私は帰りの車の中で号泣しました。

いろいろなことがあった分だけかわいい猫だった「ニャーちゃん」は、私にとってもう家族でした。

その後、1週間ほど悲しみに暮れていましたが、里親が送ってくれる「ニャーちゃん」の写真を見ると、私と一緒に過ごしていたときのように、リラックスしているのが伝わりました。

兄弟のように、里親の猫と「ニャーちゃん」が仲よくしている姿を見ると、「これでよかったのだ」と改めて思いました。

現在も里親が定期的に「ニャーちゃん」の幸せそうな写真を送ってくれます。

相変わらず幸せに暮らしている姿に癒されています。

保護したあと里親に出したことは、本当に大変なことの連続でしたが、幸せそうな姿を見ると、「やってよかった」という思いが溢れました。

 




 

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